桃農家が教える本当に美味しい恵白の選び方

桃のあれこれ

あなたが食べた恵白、硬かったですか?

それ間違ってます。

 

岡山白桃の中でもかなりの高糖度を誇る晩生品種、恵白。

各所で硬いという説明を散見しますが、様々な熟度の恵白を食べた私から言うと、硬い恵白は収穫適期、また追熟方法を間違えていると思います。

今回はお客様に本当に美味しい恵白を選んでほしいという思いを込めて、市場に硬い恵白が出回っている理由と、正しい恵白の選び方について書いてみようと思います。

 

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恵白ってどんな桃?

恵白は千種白鳳と川中島白桃の掛け合わせで生まれた桃で、熟期は8月下旬~9月、大玉になり糖度も高いという優秀な品種です。

岡山県では清水白桃や、岡山夢白桃など、メインの白桃はほぼオレンジの果実袋を掛け収穫を迎えるのに対し、この恵白は白黒二重袋と呼ばれるものを掛けています。

その理由は恵白にオレンジ袋を掛けると色が綺麗な白色にならず、白黒二重袋を掛けると美しい白桃になるので、袋の使い分けをしています。

ただここに他の品種にはない恵白最大の欠陥点が潜んでいるのです。

熟れの判別が非常につきにくいのです。

オレンジの袋を掛けている品種は収穫適期になると色が明らかに白くなってくるため、収穫適期を間違えることはありません。

 

しかしながら恵白では収穫適期の1週間以上も前から、すでに他の品種だと収穫しているくらいの「白桃の色」に仕上がっているのです。

さらに、そこに重ねて問題なのが硬いのにすでに糖度が高いということです。

岡山県では等級の選別のために光センサーを導入している産地が多いです。

通常の桃だと収穫適期より早い段階で採ると、糖度が不足して加工用の桃として流れるか下位の等級へと回されます。

ただ恵白の場合は収穫適期でなくても糖度が十分にあるため、光センサーを導入していても未熟な桃が市場に出回ってしまうのです。

 

本当に美味しい恵白の選び方

さて前置きが長くなりましたが、これが本当に美味しい恵白です。

画像クリックで大きな画像が表示されます。

見て分かる通り、そばかす(裂皮と呼ばれる)が出ています。

恵白の収穫前の色変化は少し青みが残る→白くなる→クリーム色になる→(裂皮が出てくる)という感じです。

恵白は樹でしっかり熟らして熟期を迎えると、かなりの確率でこの裂皮が出てきます。もちろん桃によって程度の差はあり、出ていなくても十分美味しいものもありますが、これが完璧に熟れた証となります。熟れた恵白は清水白桃などの品種には及ばないまでも、噛んでも音が立たないくらいには柔らかくなります。とりあえず皮がクリーム色になっていれば、裂皮がなくても十分熟れていて美味しいです。

たまにあるのですが、そばかすは出ているけど色がクリーム色じゃないパターンもあり、これはまだ熟れていないので、実際のところは外皮のクリーム色加減と裂皮を複合的にみて判断するのが一番です。

 

また他の品種の桃では流通時点で多少青みが残っていても、追熟で十分美味しくなるのですが、恵白の場合青みが他の品種と同じ程度残っていたら追熟してもイマイチ風味が乗ってこないのと、食味も素直に柔らかくならずブヨブヨになるため、青い恵白は選ばないようにしてください。酸っぱかったり、渋いです。

絶対に失敗したくない方は、早くとも8月20日以降に買うとハズレに当たる確率は低くなると思います。もちろんそれより早くても熟れているものも存在しますよ。

 

まとめ

現状、恵白では上位等級より下位等級の方が美味しいということが他の品種より多く発生していると思います。裂皮が多く出ると上位等級にならず、等級が落ちるからです。正直恵白ではロイヤルを買うより、エースや良品を買った方が美味しいものに当たる確率は高いと断言できます。

ただしこれは、綺麗な桃がロイヤルであるべきという考えが世間の根底にあり、なかなか生産者の力ではどうにもならないのが実情です。個人的には見た目よりも美味しいものはそれ相応に扱われるべきで、逆に見た目が良くても美味しくないものは上位に行くべきではないと思うんです。

 

人だって個性があるように、桃にだって個性があります。

肌が綺麗で性格も良い人もいれば、そばかすがあって最高の人だっているじゃないですか。桃だって同じだと思うんですけどね。

 

いろいろ書きましたが美味しい白桃と聞いて、恵白と言ってくれる人が一人でも増えてくれたらいいなと心の底から願っています。

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